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2010年 08月 09日 ( 3 )

8月9日(月)

湖畔の気持のよいベンチを見つけたのが午前9時台で、そこでは三島と一緒だった。新しく棚に並べた文庫本の中から一番薄い『午後の曳航』という新潮文庫を一冊選んだ。半分読み終わり、そこに栞を垂らしてから局前というバス停に着くと、草むらにそれぞれ屈んでいるカップルがいる。四葉のクローバーを探している、と言う。f0204425_21322113.jpg
「で、見つかりました?」バスの隣のシートだったので私が挨拶した。「いいえ! ダメでした」「でも充分お幸せそうじゃないですか?」私が言った。「、、、いや、さらに、、ね!」男が答えた。痩せ気味で、髪型と頬が僅かに友人さんの面影に近い。どうしてだか、、、、類似点のある人物ばかりを探している。あるいは仕草。腰に腕を回しキスをする習慣の欧米人たち。数秒ごとに相手を見つめる態度。


そんな私は、、、百万回、何億回謝って謝って、生きて行くのだろう。
もしそうし続けられるのなら。
(おわり)
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8月9日(月)

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2日間有効のバス券を購入していたので、二日目にもう一度いろは坂を登った。客は私と三脚をカメラザックに付けた男性、二人連れの若い女性の4人だけだった。ドライバーは雲海が見える事を何度も私たちにアピールした。しかしその雲海に興味を持っていたのは彼自身だけだった。「いいですか、しっかり見て下さいよ」その口調は数年前に退官された某大学教員を彷彿させた。私は県の中禅寺湖畔園地の開発に関して、大崎バス停辺りからベンチがあるかどうか、をドライバーに質問した。「でももう一つだけ。今日は屋根が無い所は濡れているかも知れませんから」気配りが細やかな男だった。


出かける前の朝食は午前5時台だったが、チョコレート味のドーナツとコーヒーだった。それをダイアナ・ロスと一緒に食べた。夜半に降り出した雨がなかなか止まずにそこにあったので、ゆっくりと時間をかけた。その部屋で動いているもの、それは一台の除湿器、非常に古く安っぽいラジカセ、食事を摂っている間の犬。それとなぜだか私自身。
(つづく)f0204425_2116475.jpgf0204425_21153570.jpgf0204425_21162732.jpg
8月8日(日)

北千住の東武線下りホームに立っていた。
「親の一言一言に口答えしていた娘だったのよ」私に話し掛けて来た女性が続けた。天理教の月一の集会に春日部に向うと言う。「それが天理教の家に嫁いでから、、、」上の空で返事をしていたのがバレたのだろうか。電車が到着すると、別のシートに向った。私も珍しくボックス席でなく電車型の座席に座っていた。その人の方を見ると、別の太った女性が立ったまま屈んで、吸い寄せられるように会話していた。最初同じ信者かと思ったが、別々の駅で降りて行った。


f0204425_2161090.jpg電車が終点に到着すると、私はそのままバスに乗り継いだ。茶店で昼食を食べ、湯川に添って歩く短いコースを終えるとタクシーで山荘に向った。管理人から荷を受け取る。それを飾り棚に並べるのに少しも時間を取らなかった。
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まだ明るかったのでベランダで夕食を取りながら、割合大きな音でべートーベンのチェロソナタを流した。その後のお茶では、ジェラルド・ムーアのシューベルトの楽曲を。どれもが古い音楽テープだった。それは、かなり前に本人から正式にプレゼントされたものだった。最後にジプシーキングをかけた。陽気なラテンリズムが私の心を僅かに和ませた。
「コレハダレ?」
「ジプシーキングサ」
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最近はそうでも無かった。
「オンガク、カケナイノ?」
「、、イイ」
よく考えると音楽は半年程もかけていなかった。
(つづく)