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NYC(24)

12月24日(土)

現在は午後3時で、いまこの飛行機は一体どこを飛行しているのか見当もつかない。翼で占められた外の風景に背を曲げて眺めると、多くの水溜まりのような風景がある。するとやっと左前方の共用スクリーンの地図がカタカナ標記になった。オタワのはるか北、ケベックの東、オンタリオの西。だとすると白くクリークのように見えた風景は雪原だったようだ。一体人間はなんて乗り物を考え出すのだろう。顔も見たこともない人の頭の上を無断で失敬するなんて。
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それからしばらくしてトイレを待ちながら非常用出口の窓を覗くと今度は海だ。それも流氷のような北極のような。「すみません、今ベーリング海ですか?」と私は男の乗務員に聞いた。何とかかんとか自分たちの飛行ルートを説明した後「たぶんロシアでしょう」と彼は答えた。さらに満席の乗客にとって今自分が地球という惑星の大気圏内のどの位置にいるかなんて、もうどうでもいいのだろう。飛ぶことなんてすっかり日常化してしまった。
by necojill | 2011-12-25 23:39 | | Comments(0)