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被災地にいってきました(7)現場主義でまた行きますよ

5月1日(日)
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車窓は常に厳しい風景があった。
「捜索済」という30センチ四方くらいの紙っぺらが多数ロープに貼付けてあったのは、TVでよく観ていた焼け野原のような海沿いの場所だった。所々に花束や地蔵が供えられている。本当にポツンポツンとしかいない人影。自転車の人、二人連れや一人の姿。その誰もが元気を失っている。日和山という見晴らしのいい景勝地には、祭壇が儲けられて神主の禊が行われようとしていた。29日は祭日だったので、多くの家族連れなどが被災したパノラマ風景を見下ろしていた。その誰もが元気を失っていた。単に見下ろしていた。あるいは一言二言、言葉を選んで語っていた。


車窓を眺めながらだんだんとその風景が自分の脳にこびりついて来るのを感じていた。
たぶんそれは「死」がその近辺にあるからに違いないと思った。


風景と死は一組になって私を捉えていた。
それらは何処か、馴染みのあるもの、でもある。
夏に死んだ男とその人の住処がちょうどそんな感じだったから。規模がまったく違っていてもすごく似通っている。


かつてそこに暮らしていた皆が日和山公園から被災地を見下ろしていたように、私は車窓から瓦礫をひとつひとつ拾っては繋ぎ止めていた。膨大な瓦礫を一個一個。何万年も掛けてそうして行こう(訳のわからない文章ですみません)。


AKIRAさんが、女川市民病院の駐車場で住民向けのコンサートをすることを知ったのは、帰る1日前だった。そのプロモーション役にたまたまなった男性と本部近くのグランドで会った。「アキラさんて、どのアキラさん?」「昔ホームレスしてた人、50歳位で、、」「ああ、やっぱりAKIRAさん。私の友達です(というのも図々しかったけど)。泣かせる唄歌う人ですよね」「本当ですか? よかったらぜひ来て下さい」「でも私たちその日の昼に帰るんですよ」「そうでしたね、残念。でもどちらかと言うと住民の方が対象ですから」いいなあ、その歌い手さんとはそういう人なんです。


被災地の風景に下手に共鳴して落ち込んでしまう自分は、それはそれで仕方無い。でも、おいおいと声をかける自分も傍にいるってことです。自作自演ですが。


この地震、津波、原発は思いがけず自分の心の中にある。だからそれにかかわる何かの仕事をずっと続けて行きたいと思う。
(おわり)
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by necojill | 2011-05-02 02:25 | 被災地 | Comments(0)