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病院にて(4)

7月25日(日)

私は外部的にはまず、1人の人間、一階に住む「大家さんの親戚」と話した。構わすインターホーンを押しドアもノックした。
「あの2階の××さんの知人のものですが、、、亡くなったのですか」と私は聞いた。男の人が出て来てくれた。
「ええ、亡くなったそうですよ」
「いつでしょうか」
「昨日かな、いや一昨日かな」
「詳しい事は警察署にお行きなさい。教えてくれるでしょう」と言われた。


2人目の人間は派出所の警官だった。念のために立ち寄った。「刑事課という部署です」
午前9時だったが、私は馬鹿な質問をした。
「その、、警察署はもうやってますか?」「24時間営業です」とその警官が自信ありげに答えた。
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3人目は警察署の受付の警官。
「ここにはもういないと思いますよ」と冷たい言葉が私を打った。9時半頃だった。たぶんとっくに棺桶に入っていた。

4人目は自分の携帯電話でかけた福祉事務所のケースワーカーだった。
この人の高い声はいつもの明るさと機敏さを失っていない。私は一気に話した。
「ご心配でしたでしょう」最後の言葉で私は初めて泣いた。だから警察署のロビーが私だけのためにそこにあった。

5人目も自分の携帯電話でかけた札幌の姪御さんだった。
「今日中に骨焼いちゃうそうです」とその若い女性が教えた。携帯番号を教え伝言を依頼した。

6人目は家の電話でかけた斎場の職員だった。もう午前10時に近かった。
「こちらではわかりませんので」と言い、折り返しの連絡を約束した。
アルコールをたっぷり含んだ体がごうごうと燃えている頃だったのかも知れない。

7人目も家の電話でかけた葬儀屋だった。
「今、火葬が終わった頃だと思います」とやる気のない別の担当が説明した。

8人目は、家の電話に着信した本人の妹さんだった。
比較的長い電話だった。まず「ごめんなさいね」と言われた。真逆なのに、と咄嗟に私は思った。
私はこんな取り込み中の時間に電話してくれるその人に心から感謝した。

当の私の特別の友人は「よっこらしょ」と言いながら、その電話機のそばにある骨壺の中に入っていたのだろう。
(つづく)
by necojill | 2010-07-25 19:39 | 書き残し | Comments(1)
Commented by necojill at 2010-07-25 19:40
ひいらぎ様、コメントありがとうございました。
彼がお酒で死んだ(いつかは死早ぬ)ことに対して私は無力でした。しかし、彼がその日にそのような風に死んだことに対してどうしても私に関係があります。ですから始まりという言葉は、これも月並みですが彼への謝罪の始まりかもしれません。
ジル