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旅という程の、、、(4)

6月13日(日)

午後にその日2度目のエクスカーションを予定したのは、単に風景の中、体を移動させていたいとか、たぶんそんな意味合いだけだった。午後3時頃だったか、犬を誘ってと言っても赤ん坊用の肩袋に突っ込み、部屋を出た。荒井城址公園から湯河原の吉浜に抜けるコースで、これもありふれたものだ。昨日買った竹製の杖を試しについてみた。瘤の形をした持ち手のところは少し位置が高い感じがした。


途中、知り合いの漁船が係留している福浦港を通った。「△△丸」と書かれたそのフネがやはり定位置にあり、競りの場所では4、5人の漁師たちが座して酒盛りをしていた。
「あの△△さん、元気ですか? △△丸の、、」と思い切って話し掛けた。
「ええっっ? なに?」全員が私の方を注目した。
「あの、、△△さん、最近お会いしてないんですが、お元気ですかね。フネはいつもあそこに留ったままですけど」
「△△が元気か、聞いてんの?」その内の一人が要約した。
「こないだ、セブンイレブンで会ったな、、」
「元気過ぎるくらいだよ、△△は」何人かで笑った。
「だけどよ、今の時間は普通フネは留めてあんの。フネが出るのは朝の×時頃から×時頃なんだから」
私は話を了解した風に返事をしてその場を去った。
「いいのお? なんか言づてとか」という親切心も断った。


ビーチである吉浜はそこから10分程だった。
浜に人影は少なく、日本人の女2人と白人の男2人、つまり2組のヘテロカップルがビーチボールで遊んでいる。女の一人は痩せていて、ワンピースの上にでれっとしたシャツを重ね、もう一人の女は派手な柄のドレスで胸も尻も既にはち切れそうだった。痩せた女は一人のブロンド男におんぶされている。そのうち海水の掛けっこになり、終わった後、女たちは髪や化粧を直していた。その浜を私は通過して行く。すべてを見分けるのに遠く離れ過ぎた頃、階段で再び国道に上がった。結局東海道線の湯河原駅まで歩き、そのころ両脚はふつうに疲れてしまった。バスが発車する寸前だった。それに乗せてもらい、来た道を戻った。


二日目の夜。残り物を食べて、それを片付けた。
午後9時少し前に友人さんからケイタイがあった。自分が変わりないこと、どんな一日だったかなどを喋っていた。けれどその日の電話は「あんたのほうは?」と珍しく私に聞いた。
こっちに来ている事を言った。
大体それだけの電話だった。
(つづく)
by necojill | 2010-06-14 20:38 | | Comments(0)