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ひとり12ステップ(25)愛し方がわからなかった

2月8日(月)続々

傷つけた人の棚卸表

〈傷つけた相手〉この世を去る少し前からの母親

〈何をしかた?〉何をしたかって? 何もしなかった事をここに書いてはダメだろうか? 多くの子どもたちがこの世を去った両親に対して同様に思うのかも知れない。この世を去ったまさにその夜、私は担当医から呼び出された。だからと言って、今日がその日だとは夢にも思ってなかった。酸素マスクをしていた。鎮かに呼吸をしていたので、、、私はなんと映画を観て過ごしていた。

NTT病院の最上階、緩和ケア病棟のリッチな個室で深夜放送の映画を観てた。恋人がHIV感染か何かで衰弱し没落している。彼が自分自身の作品の受賞式に出席するようを女が勧めている。そのTVを7割みて、3割しか母をみていなかった。とうとうTVを消した。とうとう母は逝ってしまった。私の時間の中で、二つの事が同時に起こったに過ぎない。TV、そして死。つまり私は何もしていない。なにひとつ。


〈自分の本能のどの部分が暴走したか?〉同居し、しかも「末期がんの親の介護」を早期退職の理由の第一に挙げた娘が、仕事も無いのに十分に親の世話をしなかったというのは一体どうなっているのだろう、と思われるだろう。つまり、ヘンに「距離を置く」ポーズを取っていたのだ。肉親なのに妙によそよそしい。

何種類もの小鉢の料理をスピーディに盛り付けて「あんたは仕事が早い」と誉められ、下の世話も行うが気持悪いと感じなかった事を自分自身喜んでいた。手を抜いたり、やり残した仕事の種類や分量などどこにも無かった。ずっとそれが続けられると思っていた。学業があったので「あんた大学なんて辞めちゃいなさい」と言われはしたが、介護も研究も両立していたと思っていた。やり残したり、やり足りなかった訳では無い。たったひとつだけ、心がこもっていなかったのだ。たぶんそれだ、と思う。

心が十分にこもっていなかった。どうしてだろう。本人からそう言われたこともないのだが。たぶんその通りだ。


〈自分の過ち、欠点の正確な本質は何か?〉私はただ冷たかった。それだけを後悔する。私は人から与えられる事だけを感じ取って生きて来た。無償に与える事を、自分の子どもが赤ん坊や幼児であった時を除いて、大人の人間に対して行わなかった。心の底から深く愛しているのに、それを伝える方法を知らなかった。
by necojill | 2010-02-08 21:52 | 12ステップ | Comments(0)