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異端論ではない、少なくとも

12月10日(木)続々

その後、午後と夜の2度の電話に相手は出なかった。処方薬で寝ているのだといいのだけれど。

少なくとも私の中では、彼(私のカウンセラーのひとり)のアドバイスは異端でもなければ、少なくとも排除されるべきものでは無い。
つまり「アルコール依存症者を世話する周囲の人は、もしその人がそうしたいと思うのなら、躊躇する事なくそうしてもよい。最後に後悔しないために」「なぜなら生きているという事は重いものだから」たぶんそれは、当の本人は無論、身内にとっても、そう説明する事が可能だと言う。

そういう意味の話を今日も聞く事が出来た。最後に「その手助けの内容も関係する」という附則もあったことはあったが。

安心した。もし、今日偶然に、このグループカウンセリングのセッションが予定されていなかったら、私は今かなり潰れていただろう。



喪失、それは相手の生を、自分の脳裏から消去する作業だ。

それは別離とも違う。別離とも充分似ているのだが、私にはまた異質なものを感じる。喪失は、生物進化の綿々とした進行に覆い被されながらごく普通に繰り返される。たった一つの生命体とその周囲の話ではある。

ヒトの死と言えども、それは庭に飛翔する一匹の昆虫の命の消失に等しいのかも知れない。けれど、私は想い出す。確かに、今日その男は私に何か訴えていた。私はそれに応じなかった。私はその男の耳には聞こえない何かを口走り、その男の視力では見えない姿をさらに遠くに持ち去った。暗闇がその男を覆っているに違いない。もしくはそのナキガラを(!!!コレハナントモオモククライニッキダ!!!)

少なくとも私の中では、異端でも何でも無い彼のアドバイスを、好みの古びた毛布のように纏っている。

「一緒に住んでいるんでしたら(オーバードースの経過を)観察されればいいじゃないですか?」と男の看護師が冷たく私に言った。「いいえ、ただ通り道にいるんです」と答えた。もしかしたら観察し続けるべきだったのだ、と今思った。

男の掌、皺っぽくなってしまったね、と私が触った。それから頬、突然生えたようなたった1本の髭がたぶん左右の頬にあった。時々だけ会わせてくれる目。非常に掠れた声と黄とオレンジ色の嘔吐物の付着した口の周り。それと臭い。何もかもが懐かしい。きっともう地球上の何処にも無いのかも知れないが。それを私はきっと、特別な時間をかけて受け入れるのだろう。
by necojill | 2009-12-10 23:24 | 書き残し | Comments(0)