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ジャグジーに長湯した理由

10月11日(日)続

結局一歩も外出しなかった。2回の犬の散歩以外は。

一日中、ロンブンの推敲というのを行っていた。プリントしては回りくどい表現をカットして。合間に煮物を料理し、マリネを作り、カレーをひと鍋。プリントする。それを読み、一部の表現をちょめちょめした。洗濯物を取り込み、ついでに料理を胃袋にぶち込む。まだまだ冗長であるのは判っている。しかし既に飽きてしまっている。能率がいいとは決して言えない。しかし明日もまたコレをやるのはゴメンだ、と言いつつ結局はその繰り返しになる。

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数日前、フィトネスクラブのジャグジーに浸かっていると、常連仲間のひとりが私ともうひとりに言った。
「先週、妹の旦那が死んじゃったの。59で。それもアル中でよ」
「へえ」と私たちは頷いた。

「病院を何度出たり入ったりしたかわかんないくらい」なのだそうだ。
「それがね、文句ばっかりずうっと言ってるの。ずうっとよ。やんなっちゃうわよね。だから娘達は、ふたりいたけどみんな出てっちゃうし、最後は妹も別居してたわね。暴力だけは無かったからそれはいいんだけど」

「私たちの親族を全部悪く言うのよね。それで自分の方は絶対悪口言わないの。全部こっちのせい、やんなっちゃう」
いつも明るい人なのに、その日も明るい喋り方で表情はほがらかに笑っているのだが、内容は少しばかりシリアスだ。
「身体もぼろぼろでね」
聞いていて私は思った。その人たちは、どうしてこうも同じ道筋を歩むのだろう。気の毒になる。

「私が思うに、何か食べながら飲めばいいのにってね。だってそうでしょう。お酒だけらしいの。それじゃあ身体に悪いに決まってるじゃない」
世間の(誤った)評価もどこも似た様な物だ。

「今まで妹は大変だったらしいの。でもあんたこれからのんびりしなさいよっていってやったわ」
優しい人なのだ。妹さんの年齢を聞くと、指を折っていた。「私より若いわ」「あら、うそ」指を数え直した。指の計算に誤りは起きない。底抜けに明るく心の底から優しい「姉さん」の笑顔がプールの向こうの方まで広がって行った。そんなことで結局その日は、いつもより長くジャグジーに入り過ぎてしまっていた。

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病棟あてにpost cardを投函した。
by necojill | 2009-10-11 20:15 | 書き残し | Comments(0)