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300円さん

6月1日(月)

ずっと昨日の出来事を考えていた。
(昨日より続き)イチゴを数個、機械的に口に放り込んだ後、片掌をにゅーっと出した。
「300円」
「え?」
「タバコ代」、もしくは「何に使おうが自分の勝手さ!」代。
それを断ったので(もう1円だって、1万円だって他人にお金を貸すのはイヤだったから)、一瞬に空気が変わった。「ごめん帰るね。お大事に」やっと発声した。ドキドキしていた。建物を出た後もずっと。

もう一度チャンスがあった。夕方の時刻に。それぞれの別の意味で。しかし電波環境のせいで台無しになった。彼はまたしても、1箱のタバコとかワンカップとかそんなようなものを手に入れ損ねた。ずっと待ってたんだぞ、夜の電話もどちらかと言うと、強い調子だった。ごめん、でも何を? 300円さんを? いつも決して私ではないのだ。

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渋谷で用事を済ますと、もう午後2時を回っていた。旧山手通りをチャリで抜けることになるので、久々にモンスーン・カフェで昼を食べた。パッタイという焼きビーフンを注文した。850円。ランチはドリンクバー付きになっていた。「変わりましたね」と聞くと「そうなんです」とフロア係の女が応えた。いつものやり方で、青唐辛子を持って来てもらうと「ピッキニです」と彼女は得意気にその小皿を私の前に置いた。

家に帰って、その話をたまたま遊びに来た近所の版画家に話した。自分の展覧会の招待状を持って来たのだ。リビングでお喋りが続いていた。話すことが山のようにあっても、本当に心に残る事って意外に少ない。

「もう切っちゃうの?」と聞くと「話すことが無いから」と、特別の友人が夜の電話で答えた。瞬時に原因は私なんだと考え込む習性って。本当は「昨日のことは、どうってことないよ」っていう久々の明るさだけを耳に残せばいいのに。
by necojill | 2009-06-01 08:32 | 書き残し | Comments(0)